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4/2 水鐘の都

彼と最後に会ったのは…確か、2月の下旬だったかな。あの頃に比べると、雪は欠片も残っちゃいなくて道端には花が咲いている。木の上にまで。
春だ。長い冬の重い垂れ幕に裂け目が入り、引き裂かれるのも遠くはないだろう。
早くこないかな。

季節が一つ二つと巡ったが、時間と言葉はまだ足りない。
俺たちが(此方が先に言い出したのだけど)互いに必要だと思っていたもの。
確かに必要なはずだ。だが、当の俺ときたらもう分からなくなってきている。
何かが、
何が足りないんだ? 彼は覚悟だと言った。
俺は?俺は―――……

最初の頃の方が分かっていたことがあり、今になって分かってきた事もある。
昔の俺だったら、彼の望みを叶える術を知っていたんだろうか。


―――なんて馬鹿馬鹿しい。
クビョウにも話したが、「もしも」なんてものは事実無いのと一緒だ。
アベルが聞いたら(彼女は聞く耳なんかもたないが)呆れかえって、「そんなものはただの妄想でしょ」って小首を傾げるんだろうかな。彼女は変ところで現実的だから。

パラレルワールドがあったとして、それは「俺」であって「俺」じゃない。
俺は過去も未来も、宝くじか貧乏くじを引かなければ常に後にあって前にあるもの。
決定的な瞬間に、求めた神が居なければその後どんな奇跡があったって関係ないのだ。


うん?なんの話をしていたんだっけ。
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