ハロウィンの夜。 “ Trick or Treat ”
お化けの格好をした子供達が、朝昼晩の挨拶よりもしっかりと発音する魔法の言葉。
念に数度巡ってくるお菓子を大量生産しても何ら咎めを受けない行事の一つだ。
孤児院用に作った菓子が少しばかり余ったので、子供達と同じように夜の街中を練り歩き、子供達に配っていたんだが……そこでカナラに出会った。魔女に扮していたようだけど、どうやら貰う側ではないらしい。お手伝いをしていたんだってさ。
その時、彼女の籠の中からお菓子を一つ貰い(勿論、俺からもお菓子を渡した。)
自分の死後についての情報まで貰い受けた。しかし、お菓子の時のように死後に関しては交換出来ずに――… 一緒に残りのお菓子を配り終えて、そのまま分かれた。
俺は、この先も彼女の死後を本人に伝える事はないだろう。
なぜなら、彼女が死んでから死後を考えるからだ。
彼女が生きている間は、彼女と生きている時間の事しか考えるつもりはない。
(日記はそこで終わらずに、何段も行を空けて続いている。)
これは俺が可笑しいのか、彼女が可笑しいのか。
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