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hetare

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2/11 月影の森

久しぶりに訪れた森で――奇妙奇怪に生々しい新種の果実を見つけた。五叉に先が分かれた、まさに人の手のような………と思いきや、別段裏を掻く必要もなくヒトの手だった。
木の上から腕を垂らして寝そべっていたその人物は、俺をこの森の住人だと思っているようで、無邪気にこの手で遊ぶか、ときくものだから遊ぶと答えた。少しやり方は違ったが、幼い頃に使い魔の背にものを書いては当てさせたのを思い出したよ。彼らは文字を知らなかったので、単純な絵を書いたりなんかして………いやはや、懐かしい。

それから「儚いものなんぞこの世にはないのだ!」という結論へ二人で行き着いた。なので、俺がこの世を儚む日は近くはなかろうな。しかし、話しているうちにしみじみと思うのだが言葉を転がすイキモノっていうのは俺の知っている中では大体二つのタイプに分かれる。内容はどうであれ、分け目となる要素こそ詐欺師か道化の違い。彼はきっと道化だね。勿論、俺の主観で。

あ、そうだ。彼の名前を書いておかねば。クビョウというんだが(字は書けるんだ。)…俺の舌はビに子音がつけた音は出せない。普段使わない音は人間と同じく言えないわけだ。ディとかヴァは平気なんだが……「ビ」とは!ビョ?俺が今まで歩んできた生の中で、そんなものは今まで一度たりとも出てこなかったぞ。一体どこで使うんだ?といえば、今まさにこの時。暗黙の了解よろしく、俺は彼に教えてもらったとおりクゥと呼ぶことに相成った。

とまぁ、こんな感じかな。そして彼は綺麗な顔して、漲る肉球論者だった。
あそこまで熱く語れるとは…! 同志よ、その心どうか忘れないで。
(と言わなくたって、彼はきっと忘れない。)
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